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アサギマダラの蛹

 中学生のころ図書館に一冊の本がありました。アサギマダラの幼虫の写真がのっていました。こんな幼虫を見てみたい。ガガイモを調べて何年も探しました。しかし、幼虫の姿はどこにもありません。(基本的にガガイモ科の植物を食草としますがほとんどガガイモを食べることはありません。)幼虫を見たのは就職をしてからでした。

 「あのような写真を子ども達に見せてあげたい。」そう思って終齢幼虫を探しに行きました。

バスの終点
2006年5月20日…泉佐野市

 2006年5月20日…。吉川友梨(ゆり)さんが行方不明になって三年がたちます。なんとなく熊取駅で降りてしまいました。ここからでは1時間に1本しかバスがありません。見ると5分ほど前に出たばかりです。いそいで日根野駅に行きました。

 終点に着くとひどい雨になっていました。バスは途中から貸切の状態でした。「朝はやんでいたのに残念でしたね。」運転手さんが声をかけてくださいました。以前もここのバスの中で優しい言葉をかけられたことがありました。泉佐野市の人はやさしい…?「これくらいの雨は、だいじょうぶですよ。」なんとなく答えました。

 だいじょうぶではありません。

 道は暗く水がたまっています。場所によっては水が流れているほどです。雨の日、山の中の道では川のようになってしまうことがあるのでそれとくらべるとましにも思えます。ズボンも靴の中もびしょびしょです。

 ただ、新緑の中を流れる水が豊かでとても美しく感じました。

雨の参道

いつも笑顔のお坊さん…?

 最初に山から出てこられた人にあったきり誰とも出会いません。

 ともしてあるろうそくがとても暖かく思えました。

参道のろうそく

 ようやくいつも笑顔のお坊さん?が迎えてくれました。

キジョラン

 キジョランが多くはえる場所に着きました。冬と比べるとキジョランの株の数が半分ほどに減っています。たくさんの幼虫がいたので小さな株は食べつくされてしまうのかもしれません。

 いません。いくら探しても幼虫のいる気配がありません。新鮮な食痕すらないのです。雨の中を30分以上探したと思います。あきらめようと思ったとき、昨夜病院で見た星野道夫さんの本を思い出しました。「アラスカでテントを張って撮影をするのとくらべると楽なものではないか。」気を取り直して上流に上ることにしました。

 10mほど進むと道がなくなり、流れにそってロープが張ってありました。雨で滑りそうです。昨夜の本は見なかったことにしました。

 せっかくここまで来たのに残念…。とぼとぼと帰り始めました。

 すると先ほどは見つけられなかった大きなキジョランの株が目につきました。大きくなった幼虫は小さな株にはついていないのかも知れない。これだけ葉があれば幼虫がいるかも知れない。

 目を凝らすと3mほどの高さの葉の裏に何かがついています。200mmの望遠レンズでは何かわかりません。「びっくりするほど安いレンズだったからなぁ。双眼鏡を持ってくるべきだった。」などと思いながら株をたぐりよせてみると何もついていません。落ちてしまったのかも知れません。帰ってから写真を見るしかありません。前回ここに来たときに生まれて初めてお守りを買ったのに何もいいことがない。

キジョランの大きな株

アサギマダラの蛹化場所

 参道に出ようとしたとき…アサギマダラの蛹です。先ほどのもそうだったのです。いくら食草の周囲の木や石の下を探しても見つからないのです。アサギマダラはこのような場所で蛹になるのです。

アサギマダラの蛹

 最近は、昆虫館などでマダラチョウの蛹を見るようになりました。だるまをひっくり返したようなかわいい形をしています。その上みんな美しい色をしています。

 雨でびしょぬれの蛹ですが会えて大満足でした。背中の輝く部分も見てください。

金色に輝く部分

 残念ながら大きなアサギマダラの幼虫は紹介できませんでした。また探しに行きます。

 帰りにまたお守りを買ってしまいました。