日本でのコオロギ相撲・闘蟋(とうしつ)

 

エンマコオロギの戦い
2010年9月11日…大阪府高槻市あくあぴあ芥川

 上の写真は、コオロギ相撲でかみあうエンマコオロギです。あごを大きく開いて強くかみあいます。ふだんはあまり気にならないコオロギのあごですが、このときには大きかったのだと思い直しました。一瞬にして勝敗は決まるようです。

勝って鳴くエンマコオロギのオスむ

 勝ったエンマコオロギのオスは、ほこらしげに鋭い感じの鳴き声を出していました。コオロギの鳴き声には種類があります。その一つに威嚇音(いかくおん)があります。コオロギ相撲をしていてコオロギが出会ったときに威嚇音は一度も出しませんでした。鳴くのは勝ってからです。ひょっとするとこれが威嚇音といわれているものかも知れません。

 2010年9月11日、大阪府高槻市のあくあぴあ芥川で大阪市立自然史博物館友の会の「コオロギ相撲」があったので参加してきました。中国のコオロギ相撲は聞いたことがありましたが、日本でのコオロギ相撲は初めて聞きました。「ほんとうに日本のコオロギも相撲をするのかな。」興味がありました。

 中国でのコオロギ相撲は古くからの歴史もあり、人気のある遊びとして楽しまれています。ツヅレサセコオロギのオスを使ってメスをめぐっての戦いをさせるのです。大阪市立自然史博物館のコオロギ相撲はこれを参考にして行っているもので今年(2010年)で3回目になるようです。いろいろな工夫をされていますが詳しくは実際に参加してみてください。来年もあるでしょう。

ツヅレサセコオロギ

 もともと中国で使われているのはツヅレサセコオロギです。左の写真は、日本のツヅレサセコオロギです。参加者がこのコオロギ相撲のために大阪市内で採集してきたものです。ただし、分類で同じ種類になるのかどうかはわたしにはよく分かりません。

 日本のツヅレサセコオロギでも二度戦わせてみました。しかし、はっきりと勝敗はつきませんでした。

 大阪市立自然史博物館が行っているコオロギ相撲では、エンマコオロギを使っています。

草むらにひそむエンマコオロギ

 まずは近くの草原でエンマコオロギのオス探しです。やや湿った場所にエンマコオロギは多くいるようです。メスをめぐっての戦いです。相撲に使うオスを探します。どのようなエンマコオロギが強いのかも勝つために知っておかなければならないようですが、けっこう強いオスを見分けるのは難しいようです。保管しておく条件によっても結果が違うようです。みんなで検討中です。

 なかなかうまく相撲になりません。お互いにほとんど相手をしないものが多いようです。自然の状態で出会っただけで相撲をしていてはエンマコオロギのオスも大変です。メスがいる特別な条件の下で行われるのでしょう。

 うまくエンマコオロギのオスを刺激すると、最初に紹介したような相撲になります。そして勝ったときの鳴き声を聞くことができます。

オスにせまるオスのエンマコオロギ

 余談ですが、エンマコオロギのオスに求愛をするものもいました。何をかん違いしたのでしょう。相手のオスはいやがってときどき肢でけっていました。

交尾を始めたエンマコオロギ

 かわいそうなのでメスのエンマコオロギを入れると、すぐに交尾を始めました。

 まだまだ工夫をするところがあるのでしょうが、日本のエンマコオロギでも十分相撲がとれました。エンマコオロギのほうがツヅレサセコオロギよりもはるかに大きいので、エンマコオロギのほうが面白いかもしれません。

 みんなで工夫をしながらコオロギ相撲をするのも秋の昆虫での楽しみになると思いました。