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ウスタビガ…Qちゃん ?

ウスタビガの写真
2012年11月24日…兵庫県宝塚市

 冬の雑木林を歩いていると、茶色で染まった景色の中でひときわ鮮やかに見える緑色のものが目に入ります。ウスタビガの繭です。

2006年1月21日…大阪府池田市東山

 ウラゴマダラシジミの卵を探していたのですが簡単には見つかりません。ふと前を見るとカエデにふたつ緑色の繭がついていました。ウスタビガの繭です。

ウスタビガの繭

 ウスタビガはヤママユガの仲間のガです。この仲間はみんな大型です。繭も大きく、「クスサン(すかじだわら)」や「ヤママユ」の繭も冬によく見られます。ところが、これらの繭の中に蛹はいません。ぬけがらだけです。ただし、ヤママユガの仲間には、蛹で越冬するものも多くいます。

 ヤママユガの仲間は、春から夏、秋にかけて成虫が出てきます。中でもこのウスタビガは晩秋に成虫が見られるので有名です。しかも、雄と雌で色や形が違って面白いのです。今年の秋にはぜひ見に行こうと思っています。

 いっしょにいたhir.さんが、「しっかりと枝についているものですね。」と言われました。なるほど。写真では分かりにくいかもしれませんが、枝にしっかりと緑色の糸のようなものが巻きついています。

 hir.さんの質問です。「いったい成虫はどこから出たのですか。」なるほど分かりにくいですね。上の平たくくっついた部分が開くようになっています。冬に見つけたら確かめてみましょう。

 hir.さんももう一つの繭をとってこられました。見ると卵がついています。ウスタビガは、植物や自分がぬけ出した繭に産みつけた卵で越冬します。

 ニワゼキショウがきれいな花を咲かせるころ、初夏の生き物の観察会の講師をよく頼まれます。

 2001年6月3日、参加していた子どもが緑色の幼虫を見つけました。2〜3年に一度くらいは出会います。

 大きくて気持ちが悪いと感じる人もいるでしょうね。でも、子どもたちには大変人気があります。けっこうかわいい感じもするのです。

 その上、さわると、「キュー、キュー。」とよく鳴きます。とてもかわいい鳴き声です。すぐに、「Qちゃん」と名づけられます。

ウスタビガの終齢幼虫
2001年6月3日…大阪府池田市五月山

ウスタビガの繭
2012年3月1日…大阪府池田市伏尾町

 ウスタビガの繭がありました。もちろんこの時期には中は空っぽです。卵がついていました。春に幼虫を見たいものです。

ウスタビガの幼虫
2012年5月10日…大阪府池田市伏尾町

 ウスタビガの幼虫を探してみました。冬に卵があった周辺のクヌギです。いました。思ったよりも大きくなっていました。棘(とげ)があるので、まだ終齢幼虫ではありません。終齢幼虫には棘がありません。

コナラにいたウスタビガの幼虫
2012年5月13日…奈良県生駒市

 コナラの葉にウスタビガの幼虫がいました。この場所には冬に繭がけっこう見られたそうです。ウスタビガの幼虫も何びきも見つかりました。

 上の写真をクリックすると大きな画像で見ることができます。

小さい方のウスタビガの幼虫
2012年5月14日…大阪府池田市伏尾町

 いつものウスタビガの幼虫を探しに行きました。そろそろ終齢になっているかもしれません。ところがどこにも見つかりません。ほかに少し小さい幼虫が4ひき見つかったのであきらめました。

ウスタビガのメスの成虫
2012年11月16日…兵庫県宝塚市

 ウスタビガの成虫がいました。この時期にはほとんどがメスのようです。

光に集まったウスタビガ

ウスタビガのメス

ウスタビガのオスの写真
2012年11月21日…兵庫県宝塚市

 メスのウスタビガばかりがいたのでもうオスの時期は終わったのではないかと思っていました。しかし、まだ終わってはいませんでした。下の写真はオスの触角です。

ウスタビガのオスの触角

ウスタビガのオスとメス
2012年11月24日…兵庫県宝塚市

 11月も下旬になりました。まだウスタビガのオスもメスも見ることができました。

  ウスタビガの卵
2020年1月14日大阪府池田市(飼育・富山県富山市産)
   2013年は孵化をしてくれました。最初の食いつきはうまくいきました。しかし、街の中での室内では幼虫の飼育は苦しくなってきました。はたして町の中の屋外での暑さに耐えてくれるでしょうか。
 

ウスタビガの孵化直後の幼虫
2013年3月30日…大阪府池田市(飼育)

 ウスタビガが孵化を始めました。昨年の秋にメスのウスタビガに産卵させていたものです。初齢幼虫の食いつきが悪いということなのでうまく育つかはわかりません。夏に繭を見つけるのは至難の業です。この幼虫たちに羽化のようすを見せてもらいたいのですが…。

ウスタビガの2齢幼虫
2013年4月10日…大阪府池田市(飼育)

 飼育しているウスタビガの幼虫が2齢になっています。ひょっとすると3齢もいるかもしれません。いつも野外で終齢に近いものばかりを見ていたのでこんな模様とは知りませんでした。野外でいきなりこの幼虫を見てもウスタビガとは気づかないところでした。

 ところでウスタビガの幼虫は食いつきが悪いように書いてあるものがありました。チョウの食いつきの悪いものでは飼育を失敗することがあります。少し心配でした。しかし、カエデやソメイヨシノ、それにこれを食べてくれると飼育が楽だと思って与えたアラカシもどれにもよく食いついてくれました。飼育は楽な方ではないかと感じました。

ウスタビガの幼虫
2013年4月20日…大阪府池田市(飼育)

 飼育下のウスタビガの幼虫です。3齢だと思います。

ウスタビガの幼虫
2013年5月5日…大阪府池田市(飼育)

 ウスタビガの幼虫がどんどん大きくなってきました。もう大きいものは3cmになりました。緑になって棘のあるものは4齢幼虫だと思っていたのですが、ハンドブックによると3齢としているものもありました。まあ、そのうちにわかることでしょう。

野外での終齢幼虫
2013年5月31日…兵庫県宝塚市

 久しぶりに野外でウスタビガの終齢幼虫を見ました。ボケの葉を食べていました。

ウスタビガの繭づくり
2013年6月15日…大阪府池田市(兵庫県宝塚市産)

 帰宅するとウスタビガの幼虫が繭を作ってしました。とうぜんですが、緑色の糸をはいていました。上の出入り口はずっと開いていました。最後にとじるようです。

緑の糸をはくウスタビガ