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カスミサンショウウオのくらし

カスミサンショウウオの成体の写真

 両生類の中で尾があるので有尾目とよばれるなかまです。サンショウウオ科サンショウウオ属の生き物です。北摂地域では、自然の残った平野部から低い山地にみられます。分布が広く北摂地域周辺の地域にも生息しています。北摂地域のものは低地型のようです。

カスミサンショウウオ成体の写真

2011年初見のカスミサンショウウオ成体
2011年2月19日…北摂地域

 2011年2月19日、今年初めてカスミサンショウウオの成体を見ました。複数の個体がいました。産卵の時期が始まっていました。

メスを追う繁殖期のオスのカスミサンショウウオ成体
2010年2月27日…北摂地域

 2010年、カスミサンショウウオの繁殖期になり産卵も始まっていました。3びきの成体が水の中にいました。2ひきは時々からみあっていました。上の写真のように黄色っぽい個体が黒っぽい個体を追いかけることもありました。追いかけているのがオスで、前にいるのがメスだと思います。体全体の長さに対しての尾の長さから判断しました。詳しくは、2006年の記録の続きを見てください。下にあります。

後ろ足の指が5本のカスミサンショウウオ成体
2010年3月2日…北摂地域

 カスミサンショウウオの高地型との区別に後ろ足の指の数が示されています。この個体は5本です。

 2006年、カスミサンショウウオの成長の記録です。

カスミサンショウウオの卵のう
2006年4月2日…北摂地域

 水の中に横たわるこの異様な物体…何だと思われますか。カスミサンショウウオの卵嚢(らんのう)です。カスミサンショウウオは北摂地域一帯に広く分布しており、これまで兵庫県三田市や兵庫県川辺郡猪名川町、大阪府等で上のような卵のうを見たことがあります。ただ、観察したことがあるのは卵や幼生の時期だけで私たちの仲間も成体の姿を観察したことがありませんでした。

 

2006年4月23日…北摂地域

 2006年4月23日、幼生の観察に行きました。まだあちこちに卵のうが見られました。たくさんの幼生が見られました。

カスミサンショウウオの幼生

2006年5月5日…北摂地域

葉の下から姿を見せたカスミサンショウウオ幼生

 2006年5月5日、カスミサンショウウオの幼生が大きくなっているだろうと観察に行きました。

 何か動物が来ていたのか水が濁って幼生の姿が見られません。10分以上待っていると上の写真のように1ぴきの幼生が浮かんできました。しばらくすると何びきかの幼生が葉などの下から姿を見せました。

上陸間近なカスミサンショウウオ幼生
2006年5月28日…北摂地域

 2006年5月28日、ようすを見に行きました。

 大きくなっています。みんながみんな同じように大きくなっているのではありませんが以前よりもひとまわりは大きくなっているように感じます。

 見ていると泳ぎ方が変です。

 泳ぐというよりも歩いているのです。

 よく見ると、前にも後ろにも足があります。もう歩けるようになったのです。

 もしカスミサンショウウオの幼生が陸上での生活を始めるとしたらいつがいいでしょう。梅雨の時期ではないでしょうか。

水中を歩くカスミサンショウウオ幼生

 2006年、6月8日近畿地方が梅雨入りしたものと発表されました。その後雨が降らなかったのですが、15日はよく降りました。昼の間雨漏りがひどくバケツ3つにそれぞれ10cmほどたまりました。これが自分の家だと頭を悩ませるところですが、この程度はたいしたことではないのです。夜出かけるときはズボンがびしょぬれになりました。17日の午後から弱い雨が降り始めました。サンショウウオはまだ見られるのでしょうか。早速ようすを見に行きました。

 梅雨時の雨に見られる生き物といえば、カタツムリ…?早速歩いていたのがナミマイマイです。

ナミマイマイ
2006年6月17日…北摂地域
ドクダミの花

 薄暗い生息場所に咲いているのはドクダミです。梅雨時の花です。

カスミサンショウウオのすむ環境

 環境を見て少し気になりました。水が流れ込んでいます。たいした量ではありません。先日の雨のときはもう少し流れ込んでいたはずです。

 この場所は雨が降ってもさほど雨が多量に流れ込まないのかと思いました。カスミサンショウウオはこのような環境がいいのでしょう。

6月中旬のカスミサンショウウオ幼生

 雨が降っているのでなかなか水の中のようすがわかりません。ハゼのような生き物が2ひきすばやく泳ぎました。カスミサンショウウオの幼生のようです。あまり大きくないように感じました。目を凝らして探すと幼生がいました。上の写真です。

 この時期の幼生はどのような状態なのでしょう。あまり近づけず、写真の様子からしか判断ができませんが、足は全部そろっているようです。

 やはり上陸までにはさほど日数はかからないのでしょう。

太ったカスミサンショウウオ幼生

【おまけ】

 ところが帰ろうとしたところ…。まるで糸のように細い小さなヘビが逃げようとして動きました。体重では、太いドショウに負けます。ただ、長さだけはのばせば10cmはあるでしょう。

ヒバカリの幼蛇…?

 首のところにはっきりとした黄色い部分があるのでヒバカリの幼蛇と思われます。これほど小さいものは見るのは初めてです。

カスミサンショウウオの幼生…7月
2006年7月2日…北摂地域

 7月になりました。

 まだカスミサンショウウオの幼生は水の中を歩いたり、泳いだりしていました。

 「梅雨の間に上陸するのでは…。」と以前に予想を立てていましたがけっこう幼生の期間は長いようです。

 また帰り道で爬虫類に会いました。ニホントカゲの幼体です。すぐに逃げるのでなかなか全身の写真を撮らせてもらえません。

ニホントカゲの幼体

8月のカスミサンショウウオ
2006年8月13日…北摂地域

 1か月以上カスミサンショウウオの観察をほっちらかしにしていました。気にはなっていたのですが…。

 暑い毎日が続きます。「梅雨の間に成体になって上陸する。」という予想には無理がありました。でも、8月の中旬に水の中にいるとは思いませんでした。

えらがない?…カスミサンショウウオ

 水の中にいるのではっきりしませんがえらがないような気がします。

 しばらくようすを見ていると、フラフラっと水面にきてまたもぐっていきます。やはりえらがないのです。肺呼吸をするため水面にあがらなくてはなりません。捕まえて確かめました。

肺呼吸をするようになったカスミサンショウウオ

 やはりえらがありません。このことから外鰓(がいさい…えらです)のなくなった幼生は、しばらくの間肺呼吸をしながら水の中で生活を続けていることが分かります。もう成体なのかも知れませんが…。

樹液に集まるカナブンやカブトムシ

 カスミサンショウウオのくらしが少し分かったようで喜んで帰りました。

 帰り道のクヌギを見るとカナブンなどがとまっていました。コクワガタと思われるものが木の上のほうに行ったので見に行くとカブトムシのめすもやってきていました。長い間このような樹液にカナブンやカブトムシ、クワガタムシが集まる光景を見ていませんでした。

2月のカスミサンショウウオの卵のう
2010年2月20日…北摂地域

 今年はカスミサンショウウオの成体を観察したいと思い、早めに調べに行きました。2月です。もう卵のうがありました。葉をめくったりしてさがすともう少しあるのかも知れませんができるだけ自然の状態を観察したいので探しませんでした。卵のうは2個ありました。

3びきのカスミサンショウウオ成体
2010年2月27日…北摂地域

 水中に3びきのカスミサンショウウオの成体がいました。繁殖期はもう始まっています。

卵のうの近くにいるカスミサンショウウオ成体

 下の黄色い成体の下にあるのは、数日前の卵のうです。この場所では産卵ができる場所が狭い範囲にかぎられてしまっているようです。

絡み合う2ひきのカスミサンショウウオ成体

 2ひきのカスミサンショウウオの成体が絡み合っていました。尾の長さからメスとオスのようですが、大きな枯葉の下なので産卵の行為なのか、けんかをしているのか分かりませんでした。

水面に空気を吸いに上がったカスミサンショウウオ成体

 時々空気を吸いに水面に上がってきました。

白い点の模様がはっきりしたカスミサンショウウオ成体
2010年3月2日…北摂地域

 いろいろなカスミサンショウウオの成体を見ていると、けっこう個体差があるように感じます。上の個体は白い点がよく分かります。

黒っぽいカスミサンショウウオの成体

 黒っぽい個体もいます。

カスミサンショウウオ成体のの前肢と後肢
2010年3月4日…北摂地域

 カスミサンショウウオ成体の前肢と後肢の数を確かめました。この写真では、前肢の指は4本、後肢の指は5本です。

空気を吸うカスミサンショウウオ成体
2010年3月6日…北摂地域

 水が濁っている場所が多くありました。卵のうも増えていました。繁殖期のピークが過ぎていくのかも知れません。何度かオスのカスミサンショウウオ成体が空気を吸いに水面に顔を出しました。

カスミサンショウウオの卵のう
2012年4月8日…大阪府

 しばらくカスミサンショウウオを見に行っていませんでした。久しぶりに見る卵嚢(らんのう)です。1週間前にはなかったそうです。下の写真は幼生の鰓(えら)や目がわかります。

カスミサンショウウオの卵のう