「『アナグマ』の赤ちゃん?」



 池田小学校では、しばらくの間タヌキは姿を見せていませんでした。ところが、1999年の2月上旬ごろから目撃されることが何度かありました。

 2月1日(月)の午後5時40分ごろ、校長先生が児童ホールの前のベンチのところで何かがいるのに気づかれました。タヌキです。運動場側の花壇の方に行ってから給食センターの方に姿を消したそうです。

 翌2日には、教頭先生と斎藤先生が校舎にそって2匹のタヌキが給食センターの方に行くのを目撃されました。久しぶりにタヌキが池小にもどってきたようです。みんなで心配していたのでほっとしました。

 ところが、もっと驚くようなことがおこりました。5月3日のことです。午後5時近くに「春のフェスティバル」のかたづけで学校によったところ、卒業生がかけつけてきて次のような話をしてくれました。

 池田中学校の1年生三人がプールの近くで寝そべっていると何か鳴き声のようなものがしているような気がしました。

「鳴き声せえへん…?」

「ちょっと見てくる。」

 一人の生徒が近くを探してみました。

 プールの中の下水のふたの下をのぞくと「アナグマ」の赤ちゃんがかたまっているのが見えました。ふたをとると、6〜7匹いました。10cmくらいで濃いグレーと黒の間のような色でした。「ニャー、ニャー」と鳴いていました。まだ、目もあいていません。横の穴から2匹の赤ちゃんが出てきました。しばらくするとお母さんがその穴から顔を出しました。みんなの顔を見ていました。おびえたようすで赤ちゃんを口でくわえて横の穴にもどし始めました。

 

(はじめにタヌキがいた場所)

 

 穴が北に続いているのでそちらにあるコンクリートのふたの穴をのぞくと2匹赤ちゃんがいました。いそいでパンを買ってきてほりこみましたが食べようとはしなかったそうです。

 心配になって警察の人を呼びに行きました。二人が来てくれたそうです。

「野生のアナグマはいないから、タヌキやな。」

「今持ったら死んでしまうからそっとしときや。」

「プールが始まったら心配やから先生に言っといて。」

そう教えてくださったそうです。

 もちろん今はその場所には姿が見られません。子ども達も後で見に行ったそうですが見つからなかったそうです。親がもっと安心できる場所にうつしているのでしょう。

 これまで市内のタヌキについていろいろな方から話を聞かせていただいていますが、赤ちゃんを見たという情報は初めてです。これで町の中でタヌキが子どもを産んだ場所が三か所分かりました。「やすらぎ」さんの家のタヌキは床下でした。桃園のものは下水管の中と考えられます。そして、今回も…。

 無事に育ってくれるか少し心配です。親の気持ちが不安定になっていることでしょう。いつ水が流れるか分かりません。先日も相当の雨が降りました。そして、子どもがうまく育ってくれても、「やすらぎ」さんのタヌキのように交通事故にあってほとんどが死んでしまうこともありました。無事に育ったタヌキの続きをお知らせすることができるといいのですが…。警察の方も忙しい中ありがとうございました。

 

(コンクリートのふた…ふさいであります)

 

 残念ながらその後タヌキの情報はありませんでした。プールの排水も、こちらには流れないのです。もちろん水泳指導はもっと後からしか始まりません。親がうまく移動させてくれていたのならいいのですが…。

 

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