オサムシ・ゴミムシ…北摂の生き物

 

トラップにかかったオサムシやゴミムシ
2010年4月22日…大阪府池田市豊島北(撮影日)

 最初の写真は、2010年4月21日に市内の研究会があったので2009年8月7日に兵庫県三田市の有馬富士で野生生物を調査研究する会でのセミナーのひとつの腐肉トラップで採集したオサムシやゴミムシなどを持っていきました。オサムシやゴミムシは苦手です。詳しいOt.さんがいるので確かめてもらいました。ただし、きちんとした標本にしていない上にオスの交尾器を見る必要があるのですがその時間はありませんでした。およその見分け方です。子供たちにはこの程度の見分け方や特徴を教えてあげるといいと思います。

 まず、上の写真の左に黒くて大きめの甲虫が2ひきいます。マヤサンオサムシ(ヤコンオサムシの可能性もあります。)です。オサムシは手塚治虫さんのペンネームの由来になった昆虫です。左下のように後ろの翅が退化してなくなっています。飛ぶことができず、歩行の生活だけをします。そのため大きな川にはさまれた場所などでは少しずつ地域によって進化の仕方が違ってきます。このような変化には面白いものがあるので、興味を持つ人が多くいます。ダーウィンが自然に目を向けるきっかけになったのも、このオサムシだといわれています。ミミズや毛虫などの生き物を食べています。肉食です。北摂地域でよく見かけられるオサムシは、このマヤサンオサムシとオオオサムシ、アキタクロナガオサムシの3種類です。北摂地域にはこのオサムシの中でもう1種類少し形や生活の仕方が違うマイマイカブリもふつうに見られます。マイマイ…カタツムリの中に首をつっこみ、溶かしカタツムリの溶けたものを吸うようにして食べます。このような生活をするような昆虫は珍しく、世界中でもこのマイマイカブリだけといわれ、世界の研究者のあこがれの昆虫です。このマイマイカブリも地域ごとに違いが見られます。

 マヤサンオサムシの右の列、上にいるのがゴミムシのなかまでセアカヒラタゴミムシのようです。よく知られたミイデラゴミムシと同様に臭いガスを出します。そのためヘッピリムシとも呼ばれています。この臭いガスは出す瞬間に2種類のものをあわせて作られ、強いにおいとともに100℃以上の高温になっています。ヒキガエルがヘッピリムシを食べようと舌を出すと、その舌にこのガスを出します。高温のためにヒキガエルはやけどをすることになります。このような経験をしたカエルや鳥はヘッピリムシを食べなくなるといわれています。

 その下にいる2ひきはアオゴミムシのなかまです。スジアオゴミムシなどがいます。頭と背中がとてもきれいな緑色で光っています。下のスジアオゴミムシも主に肉食で夜にミミズや小さな昆虫などを探して食べます。背中にはっきりとした筋があります。肢は黄色味の強い黄土色で、節のところが黒いのが特徴です。

 右端に小さく丸いものがころがっています。種類は上のなかまとは相当違います。糞を食べる糞虫のなかまでコブマルエンマコガネです。この小さなエンマコガネのなかまで北摂地域で主に見られるのはコブマルエンマコガネとクロマルエンマコガネ、カドマルエンマコガネの3種類です。少し大きめのものではゴホンダイコクコガネも見られます。オオセンチコガネやセンチコガネもよく知られています。

 種類がよくわかる写真があるものは下に説明をしています。

オオオサムシ

ヤコンオサムシ

アトボシアオゴミムシ

マヤサンオサムシ

クロカタビロオサムシ

セアカヒラタゴミムシ

マイマイカブリ

スジアオゴミムシ

 オオオサムシとマヤサンオサムシ、ヤコンオサムシを写真で比較しています。左の標本がオオオサムシ、右上がマヤサンオサムシ、右下がヤコンオサムシです。ヤコンオサムシは色が違うので簡単に区別ができそうな気になりますが、黒い型もあります。交尾器での同定が必要となります。

 上の写真だけでは、雰囲気をつかむのが難しいので、クリックすると大きな画像が開きますのでそちらを見てください。