温暖化と昆虫

最近、地球環境の変化などが著しく、温暖化や酸性雨など様々な問題が教育現場でも話題になることが多くなってきています。また、それらは、児童の将来に大きく関わることになり、環境教育の必要性が言われ、様々な実践が行われるようになってきています。最近の環境問題は、地球規模のものが多くなっています。
地球規模の環境問題を学習しようとしても、児童にとって、直接体験ができないものが多いのが問題点です。
例えば、地球の温暖化といっても、自分自身が直接体験できるものではありませんし、地球規模の気温の変化を統計処理するわけにもいきません。
ところが、身近にすんでいる生物には、微妙な環境の変化により、その生活などが変化しているものが見られます。移動ができないと思われがちな植物においてもシュロが近郊の山々に進出しているほどですから、動物は環境の変化に対してより敏感にその分布域を変えています。池田市など大阪周辺の地域でも、そのような昆虫が多く見られます。
これまで分布していなかった昆虫が10年ほど前から分布するようになったもので、ナガサキアゲハ・イシガケチョウ・ウスイロコノマチョウ・クロコノマチョウ・サツマシジミが池田市でも採集できるようになっています。また、かつて数の少なかった昆虫が普通に生息するようにもなってきています。ツマグロヒョウモンなどがその例です。このように短期間で極端な分布の変動が見られるもののほかにも、児童にとっても身近なクマゼミも勢力を増している昆虫といえます。生物の世界では、チョウについては愛好家も多く、詳しい分布が確かめられていますが、それ以外の生物でも同様の現象が起こっています。
ここにあげたのは、チョウの仲間だけです。実際にはこの何倍もの昆虫が分布を北に広げていることになります。
兵庫医科大学のnat.先生によると、ヒロヘリアオイラガが最近猛威をふるいつつあるといいます。トンボの仲間の分布のひろがりもよく調べられており、タイワンウチワヤンマなどの北上が確認がされています。
また、現在池田市内では見つかっていませんが、今後数年のうちに見られる可能性が高い昆虫で最近よく確かめられているものに、ヤクシマルリシジミなどがあります。


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