ビロードツリアブ
(ビロウドツリアブ)

 都市周辺部でも緑のある環境にふつうに生息しています。成虫は、春にだけ見られます。

ビロードツリアブの写真
2010年3月21日…大阪府池田市伏尾町

オオイヌノフグリで吸蜜するビロードツリアブ
2010年3月21日…大阪府池田市伏尾町

 ビロードツリアブは、都市近郊でも緑のあるような環境ではふつうに見られるツリアブ科の昆虫です。ただし、成虫が見られるのは春だけです。日あたりのいい場所を好み、特徴のある長い口吻で花の蜜を吸います。上の写真のようにオオイヌノフグリがあるときには、それを選んで吸蜜します。胸と腹は明るく丸いビロード状になっています。写真のビロードツリアブは飛びながら吸蜜しています。時々とまって吸蜜することもあります。ホバリング(空中で静止をし、ほとんど同じ場所で飛ぶこと)をすることも多く、上からつった(吊った)ように見えることからツリアブという名前がついています。ビロードツリアブの幼虫は、ヒメハナバチのなかまの幼虫に寄生して成長するそうです。

枯葉の上に止まるビロードツリアブ
2010年3月21日…大阪府池田市伏尾町

ビロードツリアブのメス
2010年3月21日…大阪府池田市伏尾町

 上の写真は、ビロードツリアブのオスです。複眼の間がくっついています。

 左の写真は、メスです。複眼が離れているので区別ができます。

 双翅目(ハエ目)の昆虫は、基本的に前に二枚の翅を持ち、後ろの翅は平均棍(へいきんこん…細い棒の先が丸くなったもの)になっています。

 ビロードツリアブには、前翅の後ろに鱗弁というものがあります。右の写真では前翅の付け根付近にある平行四辺形に近い形をしているものが鱗弁です。

鱗弁の写真

ナガバタチツボスミレで吸蜜するビロードツリアブ
2012年3月29日…兵庫県宝塚市

 やっと4月上旬なみの暖かさになりました。たくさんのビロードツリアブを見ました。ナガバタチツボスミレで吸蜜するものもいました。

石にとまったビロードツリアブ

ビロードツリアブの交尾
2012年4月2日…大阪府池田市東山町

 ビロードツリアブがたくさん見られました。交尾をしているものもいました。このような形でするとは思っていませんでした。

交尾中のビロードツリアブ
2012年4月5日…大阪府池田市東山町

 この日も交尾をしたビロードツリアブが飛んできました。

 上の写真をクリックすると大きな画像で見ることができます。

ムラサキサギゴケで吸蜜するビロードツリアブ
2012年4月18日…大阪府池田市東山町

 ムラサキサギゴケでビロードツリアブが吸蜜をしていました。季節とともに吸蜜する植物が変わるようです。

ビロウドツリアブの交尾
2013年4月5日…兵庫県宝塚市

 ビロウドツリアブが交尾をしていました。いつ見てもこの交尾はかわいく感じます。交尾をしながら飛ぶようすはうまく撮影できませんでした。

 上の写真をクリックすると大きな画像で見ることができます。

産卵中?のビロードツリアブ
2013年4月15日…大阪府箕面市

 ビロードツリアブが地面から10cm少しの高さを保って特定の範囲にこだわるような飛び方をしていました。ときどき空中から卵を落とす赤とんぼのなかまのような動作をしています。この斜面はちょうどハナバチ類が産卵する場所ではないかとほかの昆虫を探している場所でした。ふだんのビロードツリアブは腹部の先が下の写真のようにはなっていなかったと思います。どなたかビロードツリアブがどのような産卵をするのかご存知の方はありませんか。

産卵中?のビロードツリアブ

ビロードツリアブの産卵
2013年4月25日…大阪府池田市五月山 Photo by M.Mat.

 松本 勝さんからビロードツリアブの産卵の写真が送られてきました。とまって産卵をしているようでした。15日は飛びながら産卵をしているように見えました。ビロードツリアブの産卵はどのような場所でどのように行われるのがふつうなのでしょうか…?

ビロードツリアブの産卵