大阪府箕面市箕面を歩いていると新女王アリがとまっていました。「女王アリの同定は難しいな」と思いながら見ると…信じられないようなあごがありました。見たことがありません。これならかんたんに同定ができると思いました。帰ってすぐに「日本産アリ類全種図鑑」を見ると名前が分かりました。アギトアリです。しかし、鹿児島県以南の分布になっています。ネットで探すと、鹿児島県以外(以南を含めて)の全国では5か所ほどの場所に記録があるようでした。その一か所が大阪府箕面市箕面でした。最近ほかの場所でも見つかっているようです。しかし、近畿地方ではここにしかいないことになっている(三重県も近畿地方に入れることが多いのでその場合は二か所です)のによく出会ったものです。近畿地方のこのポイントにしかいない、という生き物には出会ったようなことはなかったと思います。

　アギトアリの迫力がすごいので巣を探しに行きました。最初はなかなか働きアリ(ワーカーといいます)が見つかりませんでした。これでは巣の場所が分かりません。さんざん探してやっと見つかりました。大きな働きアリです。

　アギトアリのあごの先は下の方に曲がっています。

　崖を上るアギトアリです。地面を歩いていることが多いのですが、崖も登っていきました。

　こちらも崖を登るアギトアリです。

　カメラに興奮したのか、食べ物を探しているのか分かりませんがしばらく口を180度開いて歩くことがあります。

　新女王アリと働きアリ・ワーカーの大きさがほとんど変わらないのでずっと勘違いをしているのでは、と心配でした。
　壁を交尾が終わったと思われる女王アリが歩いていました。翅が1枚落ちています。オスではふつうこのようなことがないので新女王で間違いなさそうです。

　アギトアリがアシナガアリのようなものを運んでいました。アギトアリは肉食の傾向が強いそうですが、このアリを食べるのかどうかはわかりませんでした。

　アギトアリの夜のようすを観察してきました。やはり夜も働きアリは活動をしていました。昼よりも動きが少しはやいようでした。

　アギトアリの繁殖期もピークを迎えているようでした。夜のためか見たアギトアリの新女王アリはほとんどが未交尾のようでした。オスは1ぴきも見ませんでした。

　9月30日の羽ありの新女王アリが受精しているかを確かめていました。写真はそのアギトアリのようすです。翅が落ちていません。すべて交尾をしていないようです。もともとの場所での交尾の可能性に期待した方がよさそうです。