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テングチョウ

 テングチョウは成虫で越冬します。成虫で越冬するチョウは暖かい日によく日向ぼっこをします。北摂地域で特によく見かけるのがテングチョウです。

越冬後のテングチョウ
2012年3月22日…兵庫県宝塚市

テングチョウの名前の由来

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 3月、早春の花が咲き始めました。オオイヌノフグリやヒメオドリコソウなどの花が咲きほこっています。

 

オオイヌノフグリ・ヒメオドリコソウ

ヒメオドリコソウの花

翅を閉じたテングチョウ
2006年3月5日…大阪府池田市東山

 1匹のチョウが飛んできました。テングチョウです。

 飛んできてとまるときには翅を閉じています。安心すると翅を開いてとまるようです。ただし、日光浴をするときのことです。それ以外のときはあまり翅を開いてとまりません。

翅を開いたテングチョウ

 翅を開いて日向ぼっこをするテングチョウです。

 5日は、とても春らしい日差しになりました。

コケと朝露

 コケで光っていた水滴がなくなるころ、いたるところでテングチョウを見ることができました。

 場所によっては何匹ものテングチョウが集まり追いかけっこをしていました。この時期にはテリトリー争いがあるようです。

 下の写真は、テリトリー争いのあとクヌギの枯れ葉にとまったテングチョウです。

翅を半分開いたテングチョウ

 右の写真は、枯れ葉にとまったテングチョウを横から撮ったものです。裏の色は周囲の枯れ葉とよく似ています。

横から見たテングチョウ…翅の裏側

 テングチョウやタテハチョウのこのような裏の色は保護色だと思われます。下の写真は、少し離れて見たものです。目を離すとどこにいるのか分からなくなります。その下の写真は、白黒にしたものです。色の見えない生き物もたくさんいます。

テングチョウと保護色

保護色…色がなければ

吸水中のテングチョウ
2012年3月29日…兵庫県宝塚市

 この日もたくさんの越冬後のテングチョウを見ました。岩場に吸水に来ているものもいました。

 上の写真をクリックすると大きな画像で見ることができます。

ウメで吸蜜するテングチョウ
2012年4月2日…大阪府池田市伏尾町

 テングチョウがウメの花で吸蜜していました。クリの花で吸蜜していたのをよく見たような気がしますが、そのほかの花ではあまり記憶がありません。

テングチョウの交尾
2012年4月8日…大阪府池田市細河 Photo by M.Mat.

 ウラギンシジミは成虫で越冬しますがあれはメスだけです。(※2012年4月ころはそう思っていました。しかし、その後観察をしているとウラギンシジミのオスも成虫越冬していました。)春に日向ぼっこをする多くのテングチョウがどうなのかは長い間わたしの課題になっていました。でもほっちらかしでした。松本 勝さんからテングチョウの交尾の写真が送られてきました。春に交尾をするのです。テングチョウの交尾は見たことがなかったような気がします。これでテングチョウはオスもメスも成虫越冬していることがはっきりしました。

テングチョウの産卵
2012年4月17日…大阪府池田市伏尾町

 テングチョウが産卵をしています。テングチョウの産卵は、春の暖かい日に行われます。産卵をするテングチョウはエノキの周辺を木の枝の新芽を探すように飛び、新芽を見つけると写真のように1卵ずつ新芽の隙間に産卵をします。

テングチョウの幼虫
2012年5月5日…大阪府池田市伏尾町

 先日テングチョウが産卵をしていた場所を見に行きました。やはりテングチョウの幼虫がいました。

テングチョウの幼虫
2012年5月7日…兵庫県宝塚市

 テングチョウの幼虫が大きくなっていました。

ぶら下がったテングチョウの幼虫

 テングチョウの幼虫は驚くと糸をはいてぶら下がります。

全体が緑のテングチョウの幼虫

 テングチョウの幼虫には腹側が茶色のものが多く見られますが、緑色のものもいます。

日向ぼっこをするテングチョウ
2013年3月30日…兵庫県宝塚市

 暖かい日がやってきました。早春に一番多く見られるのはテングチョウだと思います。今年もテングチョウが日向ぼっこをしたり、吸水をしたりする季節がやってきました。

新鮮なテングチョウ
2013年5月22日…大阪府

 目の前の葉にチョウがひらひらと飛んできて止まりました。見たとたん新鮮なテングチョウだとわかりました。今年羽化したテングチョウを見るのは初めてです。初見ですが、大阪府の中部です。

テングチョウの蛹の写真
2013年5月30日…大阪府池田市五月山 Photo by M.Mat.

 松本 勝さんからチョウの蛹の写真が送られてきました。ササについているのでジャノメチョウのなかまかなと思いましたが少し違います。しかし、このような模様の蛹は見たことがありません。形はテングチョウです。ネットで探すと羽化前のテングチョウの蛹の写真で同じ模様のものがありました。

テングチョウの蛹の写真

テングチョウの蛹
2013年5月31日…兵庫県宝塚市

 兵庫県宝塚市でのテングチョウは蛹の半分ほどが羽化をしている状態でした。下の写真のテングチョウはイネ科植物で蛹化をし、蛹が外れかかっています。翅の模様が透けて見えています。もうすぐ羽化です。

もうすぐ羽化するテングチョウの蛹

集まったテングチョウ
2013年5月31日…大阪府池田市五月山 Photo by M.Mat.

 大阪府池田市の五月山では、写真のように多くの羽化したテングチョウが地面にとまっている光景をよく見ます。松本 勝さんの撮影です。年によっては異常な数が発生し、近くの道にまで広がり、車にぶつかったり、ひかれたものが枯れ葉のように舞っている年もあります。

笹についたテングチョウの蛹
2014年5月16日…大阪府池田市五月山

 ガの幼虫を探しているとテングチョウの蛹がありました。たくさんありそうなので2mほどの範囲を探しました。7ひきの蛹がありました。すべてこのような模様でした。笹の葉につくものはみんなこのような模様になるようです。

テングチョウの新成虫
2014年5月19日…大阪府池田市桃園

 猪名川堤防を歩いていると、今年羽化したテングチョウが水を吸っていました。10日ほど前から周辺の地域で目撃されていましたが、わたしの初見日としては早いほうです。

ササの葉の裏のテングチョウの蛹
2014年5月22日…大阪府池田市五月山

 五月山に行きました。生き物の様子を見ていると異常な数のテングチョウの蛹があるのに気付きました。100ぴきまでは数えましたが数えきれません。少なくとも数100ぴきのテングチョウがいます。でも、テングチョウはたまにこのような大発生をすることがあります。以前に大阪府箕面市の滝道でも数えきれないほどの蛹を見たことがありました。大阪府池田市でも車道にテングチョウが飛んできてとまり、車にひかれたものが枯葉のように舞った年もありました。2014年もそのような年になりました。エノキの大木に葉はありませんでした。

ササの葉の裏のテングチョウの蛹

重なり合ったテングチョウの蛹

テングチョウの羽化の写真
2014年5月27日…大阪府池田市五月山

テングチョウの羽化の写真

 そろそろ多数のテングチョウの蛹が羽化を始めるかもしれないので見ておきました。谷の入り口では10ぴき以上のテングチョウが羽化の途中か、羽化後に羽化殻にぶら下がった状態でした。
 谷の奥では羽化したものは見ませんでした。しかし、スズメが集まっていました。蛹がそうとう減ったような気がします。よく見ると下の写真のようにつつかれたばかりのような蛹がありました。蛹はつつかれてこのようになるとすぐにその部分が黒くなります。つつかれた直後ではないかと思います。

半分が食べられたテングチョウの蛹の写真

羽化するテングチョウ
2014年5月29日…大阪府池田市五月山

 少し谷の奥に入った場所でもテングチョウの羽化が始まりました。しかし、早く気づいてもだいたいが上の写真のような状態です。蛹から出るのにかかる時間がとても短いからです。

羽化不良のテングチョウ

 羽化不良のテングチョウもよく見かけます。上の写真は何かに寄生されたのかも知れません。

クモにつかまったテングチョウ

 たとえそれらの難関を越えても、クモなどに食べられるものも多いようです。

越冬後のテングチョウ

 羽化したテングチョウが吸水をしていました。よく見ると、成虫越冬後のものも混じっていました。成虫になるのは大変です。しかし、成虫になってから1年間ほど生きるものもけっこういるようです。