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アサギマダラの記憶

 私がまだ中学生だったころ、池田市立池田中学校の図書館に古い昆虫生態の写真集がありました。なぜ中学校の図書館にこのような写真集があるのか子ども心に不思議でした。それにはアサギマダラの幼虫の写真が載っていました。何度も見に行ったのを覚えています。

 大阪府池田市の五月山はアサギマダラのマーキングポイントとして知られるようになりました。今の「市民の森」の辺りは、かつて、コナラのはえる小高い雑木林でした。秋になると東の開けた場所のほうからこの林に向かってアサギマダラが飛んできました。

ヒヨドリバナに集まるアサギマダラ
2005年10月16日…池田市五月山

 アサギマダラの幼虫は大阪の北部…北摂地域では越冬しません。冬、常緑の食草がないからです。観察するには大阪府の南部まで行かなければなりません。

 2006年1月5日、アサギマダラの幼虫に会いに泉佐野市に出かけました。大阪の南部の山で知っているところは少ししかありません。そのうちの一か所に行きました。この場所は、学生のころ野生のランが好きでフウランを探しにきました。大きな倒木についていたものを見つけて大喜びしたものでした。

 谷の斜面を登り始めると足元に元気のなさそうな植物がありました。キジョランです。キジョランは葉がしおれたように見えるのですぐに見つかります。葉を見るとアサギマダラの幼虫特有の食痕(しょくこん)がありました。丸い穴の周囲が白くなっているので新鮮な食痕です。しかし、幼虫はいないようです。次の食草を探そうと立ち上がって、ふと、「こんなに新しい食痕があって幼虫がいないはずがない。」と思い、もう一度葉の裏をていねいに見ると5mmほどの小さな幼虫が見つかりました。越冬幼虫がけっこう小さいことを忘れていました。

 そこここにキジョランがあります。ほとんどの株に幼虫が見られます。少なくとも見渡せる範囲に数10匹の幼虫がいると思われます。これからの成長が楽しみです。

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